面接官に求められる10の心得|採用の質を上げるためにできること

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神田(スターティア)

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面接は採用活動において非常に重要なプロセスの一つです。しかし、その面接において応募者の本質を理解したり、応募者から会社や面接官に対して良い印象を抱いてもらったり、入社モチベーションを高めたりすることは容易なことではありません。
そこで今回は、採用の質を上げるために面接官として知っておきたい10の心得についてご紹介します。

目次

【面接官に求められる10の心得】

面接官を担当することになれば、どんな質問をしたら良いのか、どんな相槌を打ったら良いのか、どんな態度で接したら良いのか…と様々な疑問が思い浮かぶことでしょう。
面接の質を高めるにはスキル向上や経験を積むことが必要ではありますが、その前の大事なこととして面接官としての心得があります。
面接官が持つべき10の心得をご紹介しましょう。

<心得①先入観を持たず、主観を排除して公平公正な評価をすること>

多くの場合、応募者の年齢、性別、国籍、学歴、職歴など、事前の情報がある状態で面接をすることになります。人には、例えば男性だから力仕事が得意だろう、この学校や会社の出身ならきっと優秀だろう、といったように、情報によって自動的に持ってしまうイメージがあります。これらは、正しいこともあれば、そうでないこともあります。先入観や主観を持って判断してしまうと、本来の応募者の強みや弱みを見逃してしまい、企業が求める人材とは違った人材を採用し、適切な人材を見逃すリスクにつながります。
まずは、人は先入観や主観で判断しやすいという事実を理解し、そうならないようにしようと常に心に留めておくことでも大きな効果があります。
評価をするときには事実情報から判断し、そのうえでその評価か正しいのかを確かめるための質問をしていくようにしましょう。

<心得②会社の代表であるという意識を持つこと>

応募者がすべての社員に会うことは難しく、説明会や面接時に合った社員への印象がそのまま社員全体の印象とつながります。面接官をするときには、自分は会社の代表であるという意識をもって、代表として恥ずかしくないように、社員に対して良い印象を持ってもらえるように、丁寧で誠実な対応を心がけましょう。清潔な身だしなみ・話し方にも注意が必要です。

<心得③自分自身も選ばれる立場であると自覚すること>

面接という場面においては、主に面接官が応募者に質問をし、情報を引き出した結果をもとに評価をすることになります。忘れてはならないのは応募者にも入社する会社を選ぶ権利があるということです。面接官は応募者の合否を判断しますが、合格を出したからといって必ずしも応募者が次のステップに進んでくれるとは限りません。応募者側も面接官の態度や人柄、質問の内容、フィードバックの内容、応募者側からの質問への回答などの情報から、自分が入社したいと思える会社なのかどうかを判断しにきているのです。特に有効求人倍率が高い状態(応募者に対して仕事の方が多い状態)においては、応募者側の方が仕事を選んでいると言っても過言ではないかもしれません。どのような状況においても、自分は選ばれる立場であるということを忘れずに面接を実施するようにしましょう。
逆を言えば、面接時の対応によっては入社意欲を高めることができるとも言えます。そういった意味でも面接という場は採用選考において非常に重要なプロセスであると言えます。

<心得④事前の準備を怠らないこと>

面接をする前には、応募者の能力や人物像を正しく判断するために、事前の準備をしっかり行う必要があります。
準備すべきポイントは大きく2つあり、1つは募集ポジションについて、もう1つは応募者についてです。
まず、募集しているポジションの業務内容や求める人物像を明確に把握し、面接の目的をしっかりと理解します。そのうえで、応募者の履歴書や職務経歴書に丁寧に目を通し、確認すべき点や質問したい内容をあらかじめ整理します。質問は応募者の資質や経験を深掘りできるような、過去の経験や判断基準(思考)を確認できる質問を中心に構成します。
面接官個人で行うことではありませんが、評価のばらつきを防ぐためにも採用チーム内で評価基準を明確にし、事前に面接評価シートやチェックリストを用意しておくとスムーズです。面接官個人としては、こうした内容を正しく把握しておくことが求められます。
また、面接は応募者にとって企業を知る場でもあります。仕事内容や会社の魅力について具体的に伝えられるように準備しておくことも面接官の重要な役割です。特に、応募者からの質問を受け付ける予定がある場合は、想定される質問の回答をできるだけ準備しておいてください。
面接官側が複数いる場合においては、質問の分担や役割を決めておくとよいでしょう。

<心得⑤応募者とのコミュニケーションを大事にすること>

面接官は応募者に質問をし、応募者はその質問に回答することになりますが、尋問のようになってしまうことは望ましくありません。面接官と応募者が、言葉のキャッチボールをしながら面接を進めていくことによって、応募者の本来の姿を確認しやすくなることに加え、より本質を知るための情報を得やすくなります。
質問をするという意識ではなく、コミュニケーションを大事にして面接を進めるということを心得ておきましょう。

<心得⑥事実情報を正確に聞き取ること>

応募者が話す内容について気をつけなければならない点は大きく2つあります。1つは前述の通り先入観によって事実とは異なる解釈をしてしまうこと、もう1つは事実ではない情報にだまされないようにすることです。そのためには、まずは事実情報を細かく正確に聞き取ることが必要です。後者において、「だまされない」というと表現がきつく感じるかもしれませんが、応募者としてはより良い自分を見せたいと考えるのは当然のことであり、完全に嘘ではないにせよ、誇張したり、一部事実とは異なる情報を追加していたりする可能性はあります。例えば、チームの成果を自分の成果のように話しているケースにおいては、個人として何をして、どのような考えでそれに至ったのか、チームに対してどのような影響を与えたのかなどを詳細に確認していくことで、事実が見えてきます。目標や結果を数値で答えた場合においては、目標数値はどこから算出したものなのか、結果数値はどんな方法で算出したのか、なぜそれを目標としたのかなどを掘り下げることで事実が見えてくるでしょう。

<心得⑦本来の姿を引き出すためにリラックスできる雰囲気を作ること>

面接は、本来の応募者の特性やスキルを知り、自社との適性を判断する場です。本来の姿を知るためには、応募者が緊張した状態であるよりも、よりリラックスしている状態が望ましいです。面接官とは毅然とした態度であるべきだと考える人もいるかもしれませんが、それでは応募者の緊張を誘ってしまいます。笑顔で接し、面接開始前にはリラックスできるような質問を投げかけるなど、話しやすい雰囲気を作るようにしましょう。

<心得⑧コンプライアンスを遵守すること>

面接時のコンプライアンス遵守は非常に重要です。履歴書や職務経歴書などの書類や面接で得た情報の取り扱いには十分に注意しましょう。
また面接の際、出身地、家族構成、宗教、信条、性別、婚姻状況、国籍など、業務と無関係な質問はNGです。応募者からこうした情報を積極的に話してくることもありますが、その発言に面接官自身が乗ってしまわないように注意が必要です。今後の就業状況を予測するために「今後結婚の予定はありますか?」「今後子供がほしいと考えていますか?」といった質問をしたいと考えるかもしれませんが、こうした質問もNGです。
外見や服装に関するコメントをすることもNGとなることがありますので、十分配慮しましょう。

<心得⑨フィードバックができるようにしておくこと>

応募者の評価をするという観点だけではなく、応募者に対してフィードバックができるようにしておきましょう。必ずしもフィードバックが必要というわけではありませんが、適切なフィードバックを受けることは応募者側の体験としてプラスになることが多く、入社モチベーションの向上につながる可能性があります。逆質問を受け付けるタイミングでフィードバックを求められるケースもあります。
ただし、その際に自社の評価軸にそったフィードバックをするのではなく、社会人としての一般的な尺度における評価にとどめておくようにしましょう。

<心得⑩自分の評価に責任を持つこと>

常に自分の評価に責任を持つことを忘れてはいけません。面接官のつけた評価によって合否が決定し、少なからずその人の今後のキャリアに影響を与えることになるからです。面接の経験が浅いからといって、それは応募者にとっては関係ありません。応募者に常に真摯に向き合い、公平公正な評価をできるように努める必要があります。
自信をもって評価をつけるためにも、他の心得を十分に理解した上で面接に臨むようにしましょう。

【まとめ】

面接は、採用活動において適切な人材を見極める非常に重要なプロセスです。面接官は、応募者の能力や人物像を正しく判断するために、多くのことを心得ておく必要があります。
応募者のことを公平公正に評価しなければならないことを常に心にとめ、自分の評価に責任を持つようにしましょう。面接官とは、企業の代表であり、応募者から選ばれる立場であることも忘れてはいけません。事前の準備を徹底し、コンプライアンスを遵守して、責任をもって面接官としての任務を全うしましょう。
これから面接官を務める方や、面接の改善に取り組みたい方は、今回ご紹介した10の心得をぜひ大事にしていただき、面接の質を高めてください。

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