【2025年最新】内定辞退を未然に防ぐために企業が取るべき具体策
現在の採用市場において、内定辞退は多くの企業が直面する深刻な課題となっています。新卒採用では学生の就...
神田(スターティア)
キャリア採用がうまくいかず、悩んでいる企業は多く存在します。求職者側に有利な状況が続いており、人口減少、少子高齢化が今後も進むことを考えると、採用難の時代は続いていくといえるでしょう。とはいえ、キャリア採用が成功している企業もあります。そうした企業では、何を行っているのでしょうか。
そこで今回は、キャリア採用が難しい本当の理由と、成功企業が実践する採用戦略についてご紹介します。
転職希望者の数よりも、企業が採用したいと考える人の数の方が多い状況では、応募者を獲得することが難しい状況であるのはもちろんですが、キャリア採用が難しいのはそれだけが理由ではありません。
この章では、キャリア採用が難しい本当の理由についてご紹介していきます。
なぜキャリア採用をするのかと問われれば「即戦力として活躍して欲しいから」というのが一番の答えになるのではないでしょうか。
育てる前提の新卒採用ではなくキャリア採用するのであれば、入社してすぐに成果を出してほしいと考えるのは当然のことではあります。しかし、キャリア採用者への要求レベルが高すぎると採用がうまくいかないケースが多いです。
即戦力といっても、実際に入社してすぐに成果を出せるかというと、それはかなりハードルが高いです。同じ業界、職種での転職であっても、企業によって業務の進め方や使用ツールが異なっていたり、チームでの仕事であれば既存社員との関係性を構築する必要があったりと、前職との違いがあるのです。環境や方法が変わって前職のように活躍することができないことや、力を発揮するまでに時間がかかってしまうケースもあります。
こうしたロスを少しでも減らして即戦力としての活躍を期待すると、採用条件が非常に厳しくなってしまうことになります。こうなると採用ターゲットが狭まって採用難易度がさらに高まり、キャリア採用はうまくいきません。
また、キャリア採用で即戦力を求める理由の一つに、教育コストを最小限にしようという点があります。新卒ほどではないにしても、キャリア採用に対する教育コストをかけない、もしくは最小限にまで削減してしまうことにより、キャリア採用によって入社した人は新しい仕事を理解することに時間がかかってしまったり、上手くなじめずに早期離職してしまうといったことになりかねないのです。
スキル以上に見極めが難しいともいえるのが、企業文化にスムーズになじめるか、既存社員とうまくやっていけるかというポイントです。
考え方や価値観などにミスマッチがあったり、新しい考え方ややり方を受け入れられないタイプの人であったりすると、転職者のモチベーションが低下してしまったり、なかなか成果が出ないといった状況になりやすいです。
組織風土にマッチしていないと既存社員との摩擦も起きやすく、チームワークが乱れて成果につながらないだけでなく、思わぬトラブルに発展するリスクもあります。
しかし、応募者と企業との適性を見極めることは非常に難しいです。適性を重視して選考をしようとしても簡単にはいかず、特にキャリア採用では即戦力を求めるあまり、スキルや経験を重視して性格や思考の適性を軽視してしまっていることもあります。
新卒採用はある程度まとまった人数を採用して育てていき、適性を見て配属先を決めることができます。採用時の期待を上回る新入社員もいれば、残念ながらその逆の社員もいる可能性がありますが、ある程度の成長の幅は許容できることが多いです。一方でキャリア採用の場合、基本的には欠員補充や事業拡大に伴う必要最低限の採用であることがほとんどですので、想定以下の活躍しかしてもらえなかった場合の影響が大きいです。この穴を埋めるために配置換えをしなければならなくなったり、追加で人員を採用しなければならなかったりといった事態にもなりかねません。
そういった事態は企業にとって大きなマイナスですので、キャリア採用は慎重になってしまいます。もちろん、アンマッチのない採用をする必要はあるのですが、慎重になりすぎるとなかなか内定を出せずに採用活動が長期化してしまう可能性があります。一人の候補者に対する選考プロセスが多くなったり、条件が揃った人が複数現れるのを待って検討するために結果の案内が遅くなったりすることで、他社内定により辞退されてしまうことも増えてしまいます。特に近年は複数の内定を獲得する転職希望者も多いですし、新卒採用以上に早くに結果が出た会社に決めるという方も多いです。
このように採用が難しいキャリア採用ですが、成功している企業もあります。この章では、キャリア採用を成功させている企業の採用戦略についてご紹介します。
即戦力採用だけにこだわらず、業界や職種の未経験者であっても基本スキルの高い人やキャッチアップの早い人であればポテンシャル採用を行うことで、キャリア枠の採用を順調に進めています。立ち上がりに時間がかかることを懸念するかもしれませんが、未経験者である分スムーズに新しいやり方や考え方を吸収できるという面もあり、実は経験者よりも、転職先での活躍が早いケースもあります。
基本スキルの高さ以外にも、ポテンシャル採用で重視したいのがカルチャーフィットです。カルチャーフィットは、転職者の成長や将来的なパフォーマンスに好影響を与えます。
スムーズに会社や仕事に馴染んでもらうためには、受け入れ体制を整える必要があるといえます。そのために重要なのが育成制度(オンボーディング)の整備です。キャリア採用を成功させている企業では、転職者向けの研修やサポート体制を整えています。
体制の整備には、転職者を受け入れようという既存社員の姿勢や企業文化の醸成も含まれます。研修やメンター制度などが設けられていても、既存社員のマインドセットが伴わなければそれらの制度は正しく機能しません。企業文化の整備には、トップやリーダーが新しい人を前向きに受け入れることや活発にコミュニケーションできる環境(場所や機会の提供)を整えることなどが挙げられます。
採用プロセスを最適化することで、より理想に近い人材を獲得できる可能性を高められます。
採用プロセスにおいては、いかに企業や仕事のことを理解してもらうか、いかにスムーズに選考を進められるかというところがポイントです。
キャリア採用を成功させている企業では、自社の魅力を掘り下げ、それを採用ページやSNSで積極的に発信をしています。働く人や職場の雰囲気を伝えるために、「社員インタビュー」「キャリアパス紹介」「1日の仕事紹介」などのコンテンツが有効です。写真や動画を積極的に活用することも必要です。
スムーズな選考には、スピードと質の両面のアプローチがポイントとなります。応募から面接設定、結果の連絡などの間隔をできるだけ短くして、応募者に対して可能な限りストレスがないようにするとともに他社に先を越されないようにする必要があります。また、安心感のあるこまめな連絡、自分を十分に理解してもらえたと感じられる面接の実施、適性検査による効率的な情報収集、十分な質問機会の提供、会社の魅力の伝達、丁寧なオファー面談などを行うことで質を高めます。
このように採用プロセスの最適化ができれば見極めがしやすくなり、ミスマッチの少ない応募者が増えるだけではなく、内定承諾率の向上、候補者のロイヤルティ向上も期待できます。
キャリア採用の方法といえば求人広告か人材紹介が主流でした。また、選考方法といえば、書類選考と面接が主流であったといえます。今でも活用すべき採用方法や選考方法ではありますが、それだけに頼っているのでは難しいでしょう。
採用でいえば、リファラル採用(社員が知人や元同僚を紹介する制度)を活用したり、ダイレクトリクルーティングで直接候補者にアプローチしたり、ソーシャルリクルーティング(SNSを活用した採用)を活用したりといったことが挙げられます。
選考方法としては、選考前にカジュアル面談(選考前に相互理解を深める場)を実施したり、人事だけではなく現場社員を巻き込んで実務に近いワークサンプルテストや面談で職務適性やカルチャーフィットのマッチ度を確認したりといった方法を取り入れることで、よりお互いを理解することができ、ミスマッチの少ない採用を実現できます。
キャリア採用は今後もさらに難しくなっていくことが考えられます。そのような状況下において、さらに成功を妨げているのが、今回ご紹介したような「即戦力へのこだわり」「最適人材の見極めの難しさ」「慎重すぎる採用(スピード感のない採用)」です。
こうしたハードルを超えるためには、これまでの考えややり方にこだわり過ぎず、キャリア採用であってもある程度育てる意識を持った採用を行うとともに、成長をサポートできるような環境を整えたり、積極的に新しい採用方法や選考方法を取り入れていくなど、柔軟な対応が必要であるといえます。
どんどん変化する採用マーケットに対応するために、成功企業の戦略を参考にしながら取り組んでみてください。