
労働人口が減少し、年々採用が難しくなっています。採用課題が解決できないまま時間や費用ばかりがかかってしまい、なんとか手を打ちたいと考えている企業も多いのではないでしょうか。
採用課題を解消しコスト削減をするために効果的な方法として、適性検査ツールの導入があります。但し、適性検査ツールといっても種類が非常に多いため、どんな適性検査を採用したら良いのか選択するのは難しいです。そこで今回は比較ポイントをご紹介するとともに、代表的な適性検査ツールの特徴についてご紹介していきます。
自社の採用課題を解消するために、最適な適性検査ツールはどれなのか?比較検討する際の参考にしてみてください。
1. 適性検査ツールの比較ポイント
まずは、適性検査ツールを比較するときのポイントについてご紹介します。
1-1. 適性検査で測れる内容
適性検査ツールの導入によって、どのような情報を取得し、何に活かしたいのかを明確にしておく必要があります。例えば、一般常識・専門能力・性格・資質・社風・職種マッチングなど、適性検査ツールによって測れる内容は異なってきますし、特定の項目を得意とするツールもあります。取得したい情報と適性検査ツールの特徴を比較しながら検討しましょう。
1-2. 面接サポート用の情報有無
面接の質を高めることが目的であれば、面接サポート用の情報があるか、どのようなサポート情報が取得できるのかをよく見て選択してください。
面接用と銘打っていなくても取得した情報を面接に活かせるケースも当然ありますが、面接サポート用の情報の中には「具体的にどんなポイントを確認すべきなのか」といったことまで記載されています。
1-3. 配属サポート用の情報有無
採用アセスメントの質を高めるだけではなく、入社後の配属に関する判断材料にしたいと考えている場合は、配属サポートに特化した情報を取得できる適性検査ツールもあります。その有無や内容を比較して検討してください。
1-4. 受検形式
受検形式は、大きく分けて「ペーパーテスト」「Webテスト」の2つがあります。
ペーパーテストの場合、基本的には来社してもらって検査を受け、回答用紙を郵送して結果をオンラインやメールで受けとります。Webテストの場合は、自宅など好きな場所で受けてもらうパターンと、自社に来社して自社端末で受検してもらうパターン、専用の会場で受検してもらうパターンなどがあります。最近では、PCではなくスマートフォンを使ってより手軽に受検してもらえる適性検査も登場しています。自社に来社してもらう場合は手間がかかりますが、替え玉受検のリスクがありません。
ペーパーテストまたはWebテストのどちらが適しているか、自社以外で受検を完了してもらいたいのか、自社内で受検を実施するのかなど、希望の受検形式に対応しているかを確認しましょう。また、受検者の利便性や負担も考慮した受検環境を提供することも重要です。
※Web形式はほとんどの場合、結果の即時出力が可能です。ペーパーテストは回答用紙を送付しなければならない分、情報取得までに時間がかかります。
1-5. 所要時間
所要時間と分析結果の情報量はある程度比例しますが、所要時間が長いテストは応募者にとって負担になるケースもありますし、費用も比較的高い傾向にあります。
例えば、初期の母集団が多い段階で合否の判断をしたい場合であれば所要時間の短いものを選ぶ、最終選考に近い段階で配属先も含めて検討するために多くの情報を取得したい場合は所要時間の長いものを選択するなど、どのようなタイミングで実施するかによっても、適切な所要時間は異なってきます。まずはどんな情報を取得する必要があるのかを十分に検討し、必要な情報を取得できるものの中から適切な所要時間の適性検査ツールを選択してください。
1-6. 導入費用・検査費用
適性検査ツール自体も最適なコストのものを採用しましょう。料金形態はツールによって異なります。例えば、導入費用があるものとないもの、実施のたびに人数分の費用が発生するもの、年間で定額の費用を支払えば上限人数までは実施できるものなどがあります。
どの料金形態が最も適切かを判断するために、1クールや年間に実施予定の人数を予測し、必要な費用を算出して比較することが大切です。
さらに、適性検査ツールを導入することで、面接だけでは引き出せない情報を効率的に取得できたり、面接の質が向上することで採用ミスマッチが減り、結果的に採用全体にかかるコストを削減することが期待できます。
2. 代表的な適性検査ツール
この章では、代表的な適性検査ツールの特徴についてご紹介します。
※費用については契約内容によって異なるケースも多々ありますので、直接問い合わせて確認してください。
2-1. SPI3
特徴(測定内容)
基礎能力検査と性格検査があり、能力と性格特性の両方を把握できます。
基本的なスキルと性格特性の結果を元に、「ストレス耐性」「面接時のチェックポイント」「育成時のポイント」「組織適応性」なども確認できます。面接支援情報の中には、具体的な質問例も示されています。
採用している企業が最も多く、実績が評価されています。
受検形式
ペーパーテスト、Webテスト、テストセンター、インハウス(会社)での受検、インハウスCBT
検査時間
ペーパーテスト
基礎能力検査:約70分、性格検査:約40分
Webテスト、テストセンターでの受検
基礎能力検査:約35分、性格検査:約30分
2-2. 玉手箱Ⅲ
特徴(測定内容)
能力検査と性格検査があり、能力と性格特性の両方を把握できます。同社のIMAGES検査6尺度または「ヴァイタリティ」「チームワーク」などの入社時に把握しておきたい9特性を測定できます。総合適性検査の中では短い時間で能力と性格の両方を検査することができるので受検者への負担も少ないです。
新卒採用で使われることが多い適性検査であり、SPI3と並んで新卒採用市場において導入実績が豊富です。
受検形式
Webテスト
検査時間
49分
2-3. CUBIC for WEB
特徴(測定内容)
能力検査と性格検査があり、能力と性格特性の両方を把握できます。
「ストレス耐性」「カルチャーフィット」「職種適性」を測ることができるほか、面接や面談用のアドバイス情報も取得できます。40以上の測定因子から、特に見極めたいものをピックアップして自由に設計できる「自社設定基準」機能もあります。
設計によっては試験時間が短く、結果もWebテストは即時反映できるので、素早く判定して採用することができます。
国内外の多くの企業で採用されています。
受検形式
Webテスト
検査時間
能力検査:5分〜、性格検査:15分〜
2-4. tanΘ
特徴(測定内容)
「CUBIC」をベースにして共同開発された適性検査で、能力検査と性格検査があり、能力と性格特性の両方を把握できます。
「ストレス耐性」「人物像」「5つの思考タイプ」などを直感的に捉えられる仕様になっています。思考タイプをもとに、組織風土分析レポートの出力もできるので、採用以外にも組織風土の分析や職種適性、人材配置など活躍人材の見極めやチームビルディングに活用することが可能です。能力適性検査は「言語」「非言語」「英語」がそれぞれ15分程度で完了し、性格検査のみであればスマートフォンでも受検することができるので、受検者の負担を抑えられます。
受検形式
ペーパーテスト、Webテスト
検査時間
能力検査:各15分(言語・非言語・英語)、性格検査:15分
2-5. Compass
特徴(測定内容)
オプションで能力検査もありますが、メインとなるのは性格検査です。「ストレス耐性」「対人関係スタイル」の他、抑うつなど入社後のリスクとなり得る因子を10段階でチェックすることができ、心理面を重視した採用・配属の検討に役立ちます。また、面接サポート情報もあります。
受検形式
ペーパーテスト、Webテスト
検査時間
能力検査:65分、性格検査:20分
2-6. ミツカリ
特徴(測定内容)
ミスマッチによる内定辞退や早期離職の防止に特化した性格検査のみの適性検査ツールです。事前に登録した自社社員の診断結果と応募者の診断結果をAIを活用しながら比較分析ができるので、既存社員との調和を計りたいという場合に適しています。10分程度で回答できる点も魅力です。
また、英語・中国語・ベトナム語など、9か国の外国語での受検に対応しているので、様々な国籍の応募者や社員に実施できます。
受検形式
Webテスト
検査時間
性格検査:10分
2-7. 内田クレペリン
特徴(測定内容)
作業検査法と呼ばれるジャンルの心理検査であり、能力面と性格や行動面の特徴(発動性、可変性、亢進性)を総合的に測定することができます。休憩を挟んで15分ずつの合計30分間、単純な1ケタの足し算を1分毎に行を変えながら実施します。質問形式の適性検査と比較して、望ましいと思われる結果を出そうと受検者が調整することは難しいため、受検者本来の能力や特性を知ることができます。
企業だけでなく官公庁の採用や教育、メンタルヘルス領域などでも幅広く活用されている歴史ある検査です。
受検形式
ペーパーテスト
検査時間
検査:50分
2-8. TAL
特徴(測定内容)
脳科学・心理学・統計学等に基づいて開発された、性格・資質など受検者の内面を知ることができる性格検査です。36問の質問形式と図形アイコン配置式の2つで構成されている検査で、受検者が質問の意図を見抜くことが難しく、短時間で受検者本来の特性を理解しやすくなっています。特にストレス耐性や組織の中で必要とされるコミュニケーション能力などの測定に強みがあります。
受検形式
Webテスト
検査時間
性格検査:20分
3. まとめ
適性検査ツールを導入することで効率的に必要な情報を取得することができ、自社にマッチした人材を採用できる可能性を高めることができます。また、分析結果をうまく活用することで、面接の質を高めたり、適切な配属ができたりといった効果も期待できます。採用効率が上がることや、内定辞退や早期離職が減少することで、全体の採用コストを削減することができるでしょう。
適性検査ツールは種類が豊富です。導入してどんな採用課題を解決したいのかを明確にした上で、適性検査ツールの特徴や測定できる内容を比較し、実施タイミングや場所も考慮して検査方法や検査時間も検討しましょう。採用コストを削減できるように、効果とコストのバランスを見極めることも忘れないようにしてください。